AIを使い始めるために、必ず外部のコンサル会社へ依頼しなければならないわけではありません。一方で、社内だけで進めようとしても、担当者の時間や専門知識が足りず、途中で止まることがあります。

選択肢は「すべて自社」か「すべて外注」の二つだけではありません。必要なところだけ支援を受けることもできます。この記事では、導入の段階に合わせて役割を分けるための四つの視点を紹介します。

1. まだ使い道を探す段階か、具体的な仕事に入れる段階か

公開情報を使って文章の下書きを試すなど、目的と範囲を小さく区切れる場合は、社内で学びながら検証する進め方があります。入力する情報、結果を使う範囲、確認する人を決めておけば、何が便利で何が難しいかを集められます。

一方、複数の部署へ広げる、顧客向けの回答に組み込む、社内データを横断して扱う、といった段階では、業務だけでなく情報管理や運用も検討対象になります。何を判断できずに困っているのかを整理すると、必要な外部支援を選びやすくなります。

IPAは、AIの導入パターンとして問い合わせ対応や会議録・文書作成などを挙げています。こうした活用例は候補を探す入口になりますが、自社で実施できるかは別途確認が必要です。IPA:AIの利活用、AIによるDXの推進

2. 社内に、判断する人と試す時間があるか

ツールを操作できる人がいることと、導入を進める体制があることは同じではありません。対象の仕事を理解し、結果を確かめ、必要な変更を決める人が必要です。通常業務の合間だけで進めるなら、試す範囲もその時間に合わせます。

例えば、現場担当が使い勝手を確かめ、責任者が業務に採用するか判断する役割分担が考えられます。ツールの操作に詳しくても、取引先への回答が正しいかは業務の担当者にしか判断できない場合があります。

外部に依頼しても、社内の担当者が不要になるわけではありません。現場の事情を伝える人、確認に参加する人、最終判断をする人を決めておくと、外部の提案も実際の仕事に結び付けやすくなります。

3. 扱う情報と、間違ったときの影響は何か

公開済みの文章を要約する場合と、顧客情報を含む資料を使う場合では、情報の扱いが変わります。また、社内で読むたたき台と、そのまま外部へ送る回答では、誤りの影響も違います。

確認したいのは、使う情報の種類、AIサービスへ送ってよい範囲、閲覧できる人、出力を誰が確認するかです。社内に判断できる担当者がいなければ、その部分を詳しい人に相談する選択肢があります。単にAIに詳しい人ではなく、必要な情報管理や運用の領域を支援できるかを見ます。

AIサービスへの提供データや生成物の利用条件を検討する際は、経済産業省の契約チェックリストが参考になります。自社の情報をどの条件で使えるかは、契約や社内ルールに照らして確認します。経済産業省:AIの利用・開発に関する契約チェックリスト

4. 導入後に、誰が直し、教え、確認するか

試した人だけが便利に使えても、ほかの社員が使えなければ、会社全体の仕組みにはなりません。操作手順、困ったときの相談先、資料や設定の更新方法が必要です。

既存サービスをそのまま使うなら、社内向けの使い方を整える支援で十分かもしれません。独自の機能や社内システムとの連携があるなら、不具合の調査や変更を誰が担当するかも確認します。作る費用に加えて、使い続ける手間を見積もることが判断材料になります。

自社と外部を組み合わせる三つの進め方

例えば、次のように役割を分けられます。どれか一つを正解とするものではなく、自社で不足している部分に合わせて選びます。

  • 社内で試し、評価だけ相談する:現場の担当者が試し、判断の観点や情報管理を外部と確認する。
  • 最初を一緒に進め、運用を引き継ぐ:対象業務を決めて設定や手順を整え、その後は社内で改善する。
  • 専門作業を依頼し、業務判断を社内に残す:必要な開発や検証を依頼し、利用目的や結果の採用は社内で判断する。

例えば、文章作成ツールは使えているが社員ごとの差が大きいなら、独自開発より研修や手順の整理が合うかもしれません。逆に、使い方は分かっていても社内システムへ接続できないなら、開発の支援が必要になる可能性があります。

最初に決めたいのは、依頼先より「足りないもの」

「使い道が決まらない」「試す時間がない」「安全な使い方が分からない」「実装できない」「使い続ける担当がいない」。今つまずいている場所を一つ選んでみてください。それぞれで、必要な支援は違います。

対象の仕事、社内でできること、外部に頼みたいこと、試した結果をどう判断するか。この四点を書き出すと、自社で始められる範囲と、相談したい範囲が見えてきます。必要に応じて役割分担を変えながら進める方法もあります。

この記事の発信者DiluNova株式会社

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