AI研修を検討するとき、「何時間あるか」「いくつのツールを学べるか」だけでは、仕事に役立つか判断しにくいものです。最初に決めたいのは、誰が、研修後に何をできるようになりたいかです。
この記事では、企業でAI研修を選ぶ担当者に向けて、内容を比較する観点を整理します。以下の研修区分は、目的を考えるための例です。
基礎を知る研修と、業務で試す研修を分ける
基礎を学ぶ研修では、AIでできること、不得意なこと、基本操作、入力する情報の注意点などを扱います。社員の理解を揃えることが目的なら、専門用語を増やすより、共通の考え方を持てる内容が必要です。
業務で試す研修では、資料の下書き、要約、情報整理など、実際の仕事に近い題材を使います。出力を得るだけでなく、内容を確認し、必要な修正を行うところまで練習します。
IPAも、生成AIを効果的かつ安全に利用するスキルの必要性を踏まえ、人材育成やスキル標準の情報を公開しています。操作方法だけを研修の目的にしない際の参考になります。IPA:AI利活用のための人材育成
対象者によって、必要な内容は変わる
社員全員が同じ深さまで学ぶ必要はありません。例えば一般の利用者には、基本操作と結果の確認が必要です。推進担当者には、業務の選び方、社内の質問対応、利用ルールの整理などが必要になる場合があります。
経営者や管理職には、何に投資し、どう効果を判断し、誰を担当にするかという観点があります。受講者の役割と経験が大きく違うなら、共通の基礎部分と、役割別の実践部分を分ける方法もあります。
演習は「正しい例を写す」だけにしない
講師の指示をそのまま入力して、きれいな文章が出るだけでは、仕事に戻ったときに応用できるとは限りません。何を伝えると結果が変わり、どう確かめるかまで理解することが大切です。
例えば、社内案内の下書きを題材にするなら、読み手、目的、必須情報を整理してから作ります。出力後は、日付や条件が元資料と合っているか、資料にないことが追加されていないかを確認します。情報が不足する場合に、推測せず確認へ回す練習もできます。
演習の題材は、公開情報や架空データでも構成できます。自社の資料を使う場合は、研修で使うサービスに入力してよい内容かを先に確かめます。
研修前に、利用環境を揃える
当日になってログインできない、受講者ごとに使える機能が違う、社内ネットワークから接続できない、といった状況では、演習に集中できません。利用するサービス、アカウント、端末、権限を事前に確認します。
講師側の環境で見せるだけなのか、受講者が自分で操作するのかも確認します。有料機能が必要なら、受講料とは別に利用料が発生するかを明らかにします。
研修後に、一つの仕事で試す機会を用意する
満足度のアンケートは感想を知る材料ですが、業務で使えるようになったかとは別です。研修後に一つの作業で試し、困った点や修正した点を共有する場を設ける方法があります。
例えば、受講者が自分の仕事から題材を選び、試した結果を担当者へ共有します。入力してよい情報が分からない、確認する基準が曖昧といった疑問が出たら、社内ルールや手順の改善につなげます。講師への質問や復習教材が利用できる範囲も、依頼前に確認します。
研修会社へ聞いておきたいこと
- 初心者と経験者が混在する場合、内容をどう調整するか。
- 自社の業務に近い演習を組み込めるか。
- 出力の確認と、情報の扱いをどう教えるか。
- 受講者が操作する環境と費用は何が必要か。
- 研修後の質問、復習、業務への適用をどこまで支援するか。
研修を選ぶ際は、幅広い機能を紹介することと、特定の仕事をできるようにすることを分けて考えます。受講後に試したい一業務を決めておくと、必要な内容を具体的に相談できます。
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